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静岡の高校生が洋楽にハマった日々と“黒人音楽”との出会い
久保田利伸さんは、1962年に静岡県静岡市で生まれました。意外かもしれませんが、幼少期の彼はどちらかというとおとなしい性格で、将来歌手になるとは周囲も本人も思っていなかったそうです。しかし、転機は高校時代に訪れます。
当時、アメリカから流行していたスティーヴィー・ワンダーやマーヴィン・ゲイといった“ブラック・ミュージック”に心を奪われ、毎日レコードを聴いては歌真似をしていたというのです。「こんな音楽があるのか!」と衝撃を受け、独学でリズムやビートの取り方をマスターしていきました。
この時期に培ったリズム感覚とソウルフルな表現力が、後の「ジャパニーズR&Bのパイオニア」と呼ばれる彼の原点となります。日本のポップスシーンとは一線を画す、洋楽志向の強い音楽的素養が、すでにこの頃に形作られていたのです。
まさかの大学時代は“英語の歌”で学園祭を席巻!
久保田さんは大学進学後、ワセダ・ソウル・ミュージック・クラブという音楽サークルに所属します。ここで彼は本格的に英語で歌うスキルを磨き上げ、数々のイベントで注目されるようになります。驚くべきことに、当時の久保田さんのレパートリーの大半は全て英語の楽曲だったと言われています。
ある学園祭では、外国人留学生に交じって「まるで本物のアメリカ人のようだ」と絶賛されるほどの歌唱力を披露。その噂は徐々に音楽関係者の耳にも入り、久保田さんの名前は“無名の大学生”から“未来のスター候補”へと急浮上していきます。
このように、地道な活動と独特の感性で頭角を現していった久保田さんですが、彼の本格的なデビューは意外にも「ちょっとした偶然」が重なったことから実現したのです。
デビューのきっかけは、なんと“カラオケ番組”からだった!
驚きのエピソードとして語られるのが、久保田利伸さんが某テレビ局のカラオケコンテスト番組に出演した際の出来事です。本人は「ちょっと試しに出てみよう」と気軽な気持ちでエントリーしたところ、なんとそこで圧倒的な歌唱力を披露して審査員の目に留まり、後にデビューの足掛かりとなったというのです。
この“テレビ出演”がなければ、久保田さんのデビューはもっと先になっていたかもしれません。まさに「運命の偶然」だったと言えるでしょう。
さらに、当時の業界では英語歌詞の比率が高いアーティストは敬遠されがちでしたが、久保田さんは「日本語と英語のバランスを自分なりに表現したい」と一歩も譲らず、自身のスタイルを貫きました。これが、彼の唯一無二の個性として世に受け入れられた大きな理由の一つです。
デビュー作「Missing」の裏にあった葛藤と不安
1986年、ついに久保田利伸さんはシングル「失意のダウンタウン」でメジャーデビューを果たしますが、彼の代表曲のひとつである「Missing」は、実はデビュー直後に生まれた作品です。
当初「Missing」は、シングル候補にもならなかったというのが驚きの事実です。あまりにも繊細で大人びた曲調だったため、レコード会社からは「もっとキャッチーで明るい曲を」と求められたというのです。
しかし、久保田さんはこの曲に強い想いを持っており、「これが俺の音楽なんだ」と譲らず、アルバム『SHAKE IT PARADISE』に収録。すると、リスナーの間で口コミ的に評価が高まり、結果的に今や日本のバラード史に残る名曲となりました。
こうした裏話を知ると、「Missing」の歌詞の一つひとつがより深く心に響いてきます。
世界へ羽ばたく!日本人R&Bの先駆者としての挑戦
久保田利伸さんのデビュー秘話には、もうひとつ大きな驚きがあります。それは、彼が日本のアーティストとしていち早く“アメリカ進出”を果たしたことです。1990年代には、ニューヨークを拠点に活動し、現地のプロデューサーとともにアルバムを制作。全編英語の作品をリリースし、米国の音楽チャートにも登場しました。
これは当時としては非常に珍しく、日本の音楽業界でも「前例のない挑戦」として話題になりました。彼は自身の音楽に妥協せず、言葉の壁を越えてグローバルなリスナーにアプローチするという姿勢を貫いたのです。
その結果、久保田利伸という名前は“日本人R&Bアーティストの象徴”として、国内外の音楽シーンで確固たる地位を築くこととなりました。
まとめ:久保田利伸さんのデビュー秘話は、偶然と情熱が生んだ奇跡の物語
久保田利伸さんのデビュー秘話は、ただの音楽的成功物語ではなく、偶然と努力、そして妥協しない信念が重なって生まれた奇跡のような軌跡です。音楽にのめり込んだ高校時代、学園祭での衝撃、カラオケ番組での偶然、そして「Missing」を世に出すまでの情熱。
こうしたエピソードの数々が、久保田さんの音楽に深い魂を宿らせているのです。今なお第一線で活躍し続ける久保田利伸さん。そのデビュー秘話には、私たちに「夢を追うことの大切さ」を教えてくれる力が詰まっています。